オーバーステイ(不法残留)
- 田中 裕也
- 2023年10月10日
- 読了時間: 3分
オーバーステイ(不法残留)とは
外国人が適法に日本に在留するためには、何らかの在留資格が必要です。
在留資格は、日本で仕事をし報酬を得ることができる就労系と、日本人と結婚した方など一定の身分や地位に基づく身分関係との大きく2種類に区分されることが多いです。
原則として、それぞれの在留資格には活動の範囲(目的)が設けられています。例えば日本に旅行できている方は「短期滞在」という在留資格に基づいて在留をしています。活動の範囲は観光であったり親族訪問であったりしますが、その範囲を超えた活動、例えばアルバイトなどは行えません。
また、原則として在留資格には期限があります。先の「短期滞在」は最長で90日間の滞在となり、期限が過ぎたにも関わらず在留を続けている場合にはオーバーステイ(不法残留)となります。
オーバーステイの罰則
例え1日だけのオーバーステイであっても、期限のことをうっかり忘れていた場合であっても、オーバーステイはれっきとした犯罪行為です。オーバーステイが発覚し逮捕された場合、入管法違反として3年以下の懲役や禁錮または300万円以下の罰金を請求されます。罰則は懲役と罰金どちらも請求される場合もあります。
また、原則として強制的に日本から退去となります。これを「退去強制」といいます。
退去強制となった者は一定期間日本への入国ができません。この期間を「上陸拒否期間」といい、はじめての退去強制処分の場合は「5年間」、2回目以降であれば「10年間」上陸拒否となります。

上陸拒否期間を過ぎたからといって、再び日本に入国できるとは限りません。
新たに入国をする際には過去の違反も審査の対象となりますので、現実的には再入国は非常に困難になることが一般的です。
複数回繰り返している場合や悪質だと判断される場合には裁判にかけられることもあります。裁判で懲役刑が確定した場合には、原則として出所後日本に入国することは一切できなくなります。執行猶予がついた場合でも同様の取り扱いとなります。
出国命令制度

以下の条件を全て満たす場合のみ、出国命令制度を利用することができます。
① 出国の意思をもって自ら入国管理官署に出頭したものであること
② 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
③ 窃盗罪等の一定の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
④ 過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
⑤ 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること
出国命令制度の対象者であり、この制度を利用する場合には出頭からおよそ2週間程度で日本から出国することになります。出国命令制度を利用する大きなメリットは、
①身柄が拘束されない
②上陸拒否期間が1年
上記の2つが挙げられます。
ただし先ほどの退去強制の場合と同様に、上陸拒否期間が過ぎたからといって日本への再入国が必ず許可されるわけではありません。過去の違反が消えるわけではありませんので、再入国の審査の際にオーバーステイ歴があることはネガティブな要素として捉えられるからです。
まとめ
今回はオーバーステイについてご紹介しました。
オーバーステイは例え1日であっても、うっかりしていただけであっても、れっきとした犯罪行為です。
その罰則は重く、最悪の場合には今後2度と日本へ入国することは許されないということもあり得ます。
一定の条件を満たせば出国命令制度を利用することができますが、出国命令制度を利用したとしても上陸拒否期間経過後に再入国が約束されるわけではありません。過去の違反歴は解消されないのです。
当事務所では、出国命令制度を利用した後に日本へ再入国を検討されている方々のご相談も承っております。お困りの際はぜひご相談ください。
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